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漫画家マッチングサービス

4 Comments
この数日新しいサービスについて考えていた。
ずばり「漫画家マッチングサービス」である。
「漫画を描いてもらいたい法人または個人」と「漫画を描く事ができる人(プロアマ問わず)」を繋ぐサービスだ。
多数の方にユーザーインタビューをさせていただき、アンケートまで実施したものの、色々あってお蔵入りすることにした。
ご協力くださった方々、ありがとう、そして申し訳ない。
せめてもの……というわけではないが、せっかくなのでブログのネタにしてみる。
アンケート結果も盛り込んでるので、良かったら見てもらいたい。

さて、まずは思いついたキッカケから順に話していこう。
僕の葛藤を楽しんでもらえれば。

このサービスを思いついたキッカケは、単純にプライベートな理由だ。
僕は個人的な趣味として小説を書いているのだが、これをコミカライズできないかと考えたのだ。
だが漫画家を気楽に見つけるサービスが無かった。
あっても1ページ25000円とかで手が出なかった。
仕方ないから某サービスで当たってみた所、なかなか良さ気な人が1ページ3000円で請けてくれる事になった。
こういった事があったから「だったら漫画家と個人を結びつけるサービス作ったらいいんじゃない?」となったのである。
しかし、いざやるとなると大変だ。
まずニーズが見えない。
というかおそらく殆ど無いだろう。
個人で漫画を依頼するシチュエーションが僕ですらあまり浮かばない。
自分の小説を有料で漫画にするなんてファンキーな奴はあまりいないだろうし。
そう思った時、それならばゴールを用意したら幅が広がるのではと思った。
つまり、自分が原作をして作った作品を売ることができるプラットフォームを作ったら、もっと気軽に漫画発注を頼む人が増えるのでは。
仮に制作費用に2万円ほどかかっても、売ったことによる収益でPayできるなら、依頼が増えるのでは、と。
例えばどういうことか。
オリジナル漫画を作成し原作者として名を売るというのもロマンがある。
他にも自分の中の妄想が他人にも汎用性が効く類のもの……同人作品やアダルト漫画などがこれに分類される。
こんな感じでゴールを設定したら面白いだろう。
もちろん漫画家にも売上の一部をレベニューシェアで渡す。
僕にも当然入ってくる。
つまり漫画を作れば作るほど三者三様得をするわけである。
漫画家もロングテールで回収できるので値段を抑えられるし、買い手も発注しても十分Payする。
上手いモデルではないか。

上記のことを思いついた僕は、簡単な企画書を作り、ユーザーインタビュー数名と有識者に話を聞きに行った。
結果は概ね良好。
あったら面白いね、だ(まあこういう回答はあまり重視しないほうがいい)。
あとは、ToCに振る限りにおいては全く数値が見えないから、LP作って回してみてスイートスポットを探っていきましょう、というまあ綺麗な回答だった。

しかし、まだLPを作る段ではない。
先程の話をまとめて企画書をバージョンアップした後、最後に大規模なユーザーインタビューを行う必要がある。
というわけで皆さんにFacebookでご協力いただいた(本当に感謝します)。
今回僕が聞いた項目は大きく分けて4つ。

1, ビジネス用途で漫画を頼んだことはあるか
2, プライベート用途で漫画を頼んだことはあるか
3, もし漫画家を気軽に頼めるサービスがあったら使うか
4, その他何か意見があれば

回答は全部で28人分集まった。
予想しなかった面白い傾向が出たので公開しよう。
まず1の質問「ビジネス用途で過去に頼んだことがあるか」に対する回答だが、85%の人が頼んだことはなかった。
逆に15%(4名)の人は頼んだことがあるようだ。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: ビジネス用途で漫画制作を依頼した事はありますか。。回答数: 28 件の回答。
同時に2の回答もみてみよう。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: プライベート用途で漫画制作を依頼した事はありますか。。回答数: 28 件の回答。
流石にプライベートで漫画を頼んだことのある人は1名だけだった。
だがここで面白い結果が出た。
この過去に依頼したことがある人に「また依頼したいか」を聞いたら、ビジネス・プライベート合わせて5名の人は、全員「また依頼したい」と回答した。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: また依頼したいと思いますか?。回答数: 4 件の回答。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: また依頼したいと思いますか?。回答数: 1 件の回答。
成果物に対する満足度は高いようだ。
これはフリークエンシーも期待できる。

それでは次の質問を見てみよう。
一番の肝である「もし漫画家を気軽に見つけることができるサービスがあったら使うか」についてだ。
その気になる結果がこれだ。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: もし漫画制作を気軽に依頼出来るサービスがあったら、利用することは考えられますか?。回答数: 28 件の回答。
実に16人が依頼するかもと答えている。
そして16人の想定予算内訳はこんな感じだ。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: 予算を教えてください。回答数: 16 件の回答。
ある程度単価が高いのが分かる。
ついでに、どんな作風の漫画を好まれるかを聞いてみた。
フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: 依頼したい漫画の絵柄を教えてください。(複数回答可)。回答数: 16 件の回答。
エッセイ系がウケるのかと思いきや、少年・青年漫画が強い。
まあ世代が世代だからだろう。

最後に「その他何かあれば」という質問だが、これもなかなかおもしろい回答が集まった。
値段について言及しているものもあったし、作風についての意見や、漫画家のレパートリーについて語ってる意見もあった。
非常に参考になる。

さて、ここまでアンケートを取れたので、よし、それならいっちょMVPを作ってデータを取ってみようか、となる。
そんなわけで勢いに乗った僕は、サービス名を考え、ドメインを取り、サーバーにメールソフトを入れ、LPを作った(ご丁寧にFaviconまで作ってしまった)。
それがこちらである。
dippen.org
お分かりの通り、機能はほとんど無い。
問い合わせも全てメールだし、決済システムだの会員機能だのは無い。
注文がきたら僕がメールでやり取りして、僕の口座に振り込ませて、とアナログ対応するつもりだ。
まあMVPだからこんなもんだろう。
とりあえず10人ぐらい回せばある程度課題が見える、それからニーズが見えた時点でリニューアルしよう、そんな考えだ。
あとは漫画家を3人ほど一本釣りした後、画像を差し替えれば、リリースできる。
僕はそう思った。

が、結局僕はこのビジネスをお蔵入りすることにした。
色々悩み悩んだ上での結論だ。
まあちょっと語るので聞いてもらいたい。

まずサービスの内容が当初と違うものになることがネックだった。
最初から読んで貰っただろうから分かってもらえる通り、僕がやりたかったのはToC向けサービスの展開だ。
漫画を個人で作るという文化が無い状況でそれを作れたら幸せだろうな、と。
大変だけど賭けてみるのも面白いな、と。
だが仮にアンケート結果を重視するのならば、ニーズがあるのは間違いなくToBだ(まあこんなものは最初から分かってはいたが)。
で、このToBというのが曲者で、調べてもらえば分かる通り、ToB向けの漫画作成会社はもうすでに腐るほどある。
創業何十年、ディレクターいて、漫画家何百人も抑えてますよ、みたいなのが。
もちろん競合はいたほうが良い。
いなけりゃいない程度の市場だし、いたほうが市場があるのが分かって良いからだ。
だがそうなった時、差別化はどうするのか、とも悩んだ。
一つ考えられたのは「値段」だ。
競合は皆ディレクション費用など諸々込みの金額で、結構高い。
1ページ辺り最低でも25000円ほどかかる。
中には3ページの漫画込みのLPを作るのに30万近く取ってる業者もあった。
これはちょっと高すぎるのではないか。
僕が個人で探したように、個人で請け負ってディレクション業務が発生しないのなら、1ページ3000円で収まる。
仮に5ページ頼む場合、競合だと125000円のところが、僕のルートだと15000円で済む。
これは一つの武器になるのではないか。
ただその分ディレクション周りが無いのでクオリティは若干落ちる。
まあでも1Pの漫画でディレクションもクソもそこまで無いように思えるが。
仮に差が出たとしても「ちょっとクオリティが高くて値段もクソ高い」を選ぶか「ちょっとクオリティが低くなるかもしれないけど値段もクソ安い」を取るか、だ。
ToB向けサービスの鉄則として、「低価格よりも信頼性」というのがあるが、この場合、後者を選ぶ会社も十分あると思う。
事実アンケート結果に出てるので。
これは一つの狙い目だと思った。

ここまで分かってるなら、とりあえず回してみりゃいいじゃないか。
僕もそう思ったのだけれど、最後の最後で障害になったのが、僕の「覚悟」だ。
ToC向けでやるならいざしらず、ToB向けともなると十分課題は間に合ってる。
別に僕が無理して起業しなくても足りてるのだ。
10社が11社になるだけだ、と。
そんな状況だと、全く持って面白くなく、おそらく僕はこのビジネスに対して、最後までやりきる気力が無い。
起業ってのは難しく、最後は「誰にも砕けない光り輝くダイヤモンドの意思」があるかどうか、が肝になる。
僕は多分このサービスには持てない。
仮に始めたとした場合、少なからざる人を巻き込む形になる。
漫画家やクライアントだ。
とても片手間にできることではないし、「すまん、やっぱやーめた」とするわけにはいかないのだ。

と、まあ、そんなわけで僕はこれをお蔵入りすることにした。
アンケートやユーザーインタビューにご協力いただいた方、VCの皆さん、本当にありがとうございました。
結果進むことはなかったので申し訳なくはあるけれど、まあ中途半端に進めると誰もが不幸になると思うし、覚悟がない状態で始めても勝ち目など到底ないので、この判断は正しかったのだと思う。

もしこのブログをみて、初めてみたいなと思った方、是非試してもらいたい。
僕は個人的に漫画を頼みたいなと思ってるので、使わせてもらうと思う。
あるいは手を貸してと言ってくれれば、喜んで何でも貸します(手と言わず足でも口でも何でも)。
お気軽にご連絡を。

ま、そんなこんなで、久しぶりの没になったアイデアシリーズでした。
楽しんでもらえたかな?
ご意見などありましたらひっそりとお伝え下さい。

最後にご協力いただいた皆さんには重ね重ね感謝をしたい。
ありがとうございます。
又何かの折にはご協力頂ければと思います。
僕も言ってくだされば出来る限り協力しますので。

そいではまた!

4 件のコメント :

  1. 出版社で編集を10年やってきて、20万部、10万部の本も作ってきました。外舘と申します。

    出版業界の古さに嫌気がさし、昨年、個人の電子書籍を編集するタキビ編集室をオンライン上に作りました(ネット知識があまりないままにサイトを作ったのでサイトはダメダメです笑 サイトでは個人から編集費をもらって電子を作りますが、印税契約での電子出版も動きはじめています)。

    いま、有名ブロガーのゴマブッ子さんの電子書籍を作っているのですが、池森さんと同様、コミカライズしたいと考えていまして、漫画家とのマッチングサイトがないか探していたところ、池森さんのサイトに辿り着きました。

    漫画ってやっぱりハードルが高くて…。金銭的なハードルと画を書ける人との出会いのハードルがすごく高いです。

    上記企画では1P単価で制作をしようと考えていたようですが、印税でのやり方は考えなかったのでしょうか?

    出版社が電子書籍を作るとき(紙の本の付随ブツですが)、だいたい著者印税は20%です。

    これは出版社の人件費が高いためにそのような印税率になっているのと、「出版は文化である」という名目があるために、Amazonでの印税率70%を半額の35%にまで下げてまで楽天コボやiBooksなど、ほとんど売れる見込みのないほかのネット書店でも売らないといけないため、著者印税は必然的に下がってしまいます。

    弊社のような小さい編集室であればこうしたシガラミにとらわれることがないので、Amazonオンリー販売で印税70%がAmazonからバックされるので、著者、漫画家双方に印税で支払うことができます。つまり、編集者、原作者、漫画家の三者がマンガ制作のための持ち出しがほとんど必要なくなります(印税より目先の原稿料が欲しいと言われればそれまでですが…)。

    ええと、何ができるかわかりませんが、何かご協力できるかもしれません(笑)。

    弊社としても、簡単に漫画を作っていける何かしらの仕組みづくりはしたいなと思っておりました。

    上記漫画企画だけに限らず、「出版」にまつわるご協力は何かしらできるんじゃないかなと思っておりますm(_ _)m

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    1. 外舘さん

      池森です。
      ご連絡ありがとうございます。

      契約方式ですが、印税での支払いについては検討はしましたが早い内に無くしました。
      というのも、当初考えていたプランは、コミカライズしたい個人の方をターゲットにしておりました。
      そのため、本の中身ありきではなく、コミカライズしたい願望ありきなので、売れる数が保証できない状態だったからです。
      ましてや編集なども挟む予定がなかったので、尚更目処はたちません。
      そういった場合では印税での支払いは適当だと考えられませんでした。

      外舘さんの内容ですと。鼻から売れるものだけをターゲットにしており、編集が入るとのことなので、明らかに売れる目処が一定数立っているので可能かもしれませんね。
      ただ実際に漫画家にヒアリングした肌感覚から言わせて頂ければ、彼らはおそらく入るか入らないか読めない印税より、目先の原稿料を求めると考えます。
      持ち出しがほとんど無いという表現をされてらっしゃいましたが、これは原作者には言えることだと思いますが、漫画家には適当な表現ではないと考えます。
      私達が思っている以上に、あまり余裕がない人が多い感じでしたので。

      漫画を作っていく仕掛け作りは面白いですね。
      僕はサービスの設計から実際の制作までできますし、外舘さんのほうは編集など実作業が諸々可能ですので、お互い上手く組める部分はあるかと思います。
      それ以外にも個人的に出版業界は大変興味があるジャンルです。

      良ければ下記メールアドレスまでご連絡頂けませんか?
      一度お茶でもしながらお話できればと思います。

      yuki.ikemori@gmail.com

      どうぞ宜しくお願いします。

      池森

      削除
  2. このサービス興味あります。親父が病気したので、生き様マンガみたいなもの作ろうかなーって思ってます。
    単価 1ページ3000円 モノクロ って安いなーって印象なのですが、10Pだったら3万円ポッキリで作れるのですか?

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    1. お返事遅くなり申し訳ありません。
      個人的に伝を辿ったところ、その金額で受けてくれる人が見つかったという話です。
      ちゃんとした所を挟むと何倍もすると思います。

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